2012年7月21日土曜日

山梨腎生検カンファレンス

2012年7月20日(金)第14回 山梨腎生検カンファレンスが山梨県立中央病院にて開催されました。
山梨県内の腎生検を扱う腎臓内科、小児科(腎)、病理診断科の先生が集まり、難解な症例を臨床側、病理側から検討します。山梨大学病理診断科からは山根、近藤、大石の3人が参加しました。

腎生検は病理検査の重要な柱の一つですが、やや特殊なので苦手な病理医も結構います(管理人2号は残念ながら苦手です)。診断には症状、血液所見、尿所見、臨床経過、合併症、家族歴、既往歴が大きく影響を与えるため臨床情報を十分に理解しておく必要があるのはもちろんのこと、特殊染色、蛍光免疫染色、電子顕微鏡などの病理側のデータも多く、これらの情報を統合して診断を導くには医師としての総合力が必要となってきます。

PAS染色:
問題: 2つの糸球体が写っていますが、どのような所見があるでしょうか?

答え: 
左 分節性硬化、右 全節性硬化
上の写真は糸球体硬化を示していますが、これは単なる所見であり、腎臓に糸球体硬化が何故起きたのか、これからこの腎臓はどうなるのかを考えるのが腎生検の病理診断です。

IgGの蛍光免疫染色
問題: 染色パターンは?

答え:
IgGの顆粒状沈着が基底膜に全節性にみられる
糸球体腎炎の蛍光免疫染色のパターンを覚えるのは医学生にとってなかなかやっかいですよね。
これには少しコツありまして、腎炎→染色パターンの順で覚えるのではなく、染色パターン→腎炎でも覚えるとよいかと思います。これは実際に診断する上でのプロセスでもあります。

IgAのメサンギウム領域への沈着  → IgA腎症、紫斑病性腎炎
IgG、C3の基底膜への顆粒状の沈着  →  膜性腎症、急性糸球体腎炎
IgG、C3の基底膜 ± メサンギウムへの顆粒状の沈着  → 膜性増殖性糸球体腎炎、
IgGの基底膜への線状の沈着  →   Goodpasture症候群
(※ 当然ながら例外もあります)
近藤、長田先生(筑波大学)、若杉先生(山梨県立中央病院)


長田道夫先生(筑波大学 腎・血管病理学教授) には毎年この会でご指導いただいています。
管理人2号はいつも励みとなるお言葉を長田先生からいただき(内容は内緒 (・・。)ゞ テヘ )、頑張れちゃうようになります。

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